[All Time Favorite] Oh! ベスト / 岡村靖幸

e0116902_315945.jpg











岡村ちゃんこと岡村靖幸のシングルを発表順に並べたベストアルバム。

彼のキャリア絶頂期はバブル全盛と見事に重なっている。そこにあるのは他を寄せ付けない恐ろしいほどのクオリティと、無邪気さだ。

文化は生きていくにあたって必要のない無駄なもの。でもその「無駄」こそが文化というものである、という考え方からすれば、彼の音楽は、幸福な時代に余裕があったからこそ生まれた、数少ないホンモノだった。

そして残酷なことに、アルバム後半(Disc 2の後半)は、それらが次第に失われていくドキュメントとして機能してしまっている。

トピックとしてはバブル崩壊、オウム、援助交際などがあげられるだろう。
それに並走するような91年以降の寡作状態。そして体型同様ファットで硬質になっていくビートと、シリアスな描写や単なるノスタルジーが増えていく作風。これはもう、聞いていて悲しくなるほど多くを物語っている。彼は私生活においても、この国同様、ボロボロでグダグダになってゆく。

しかし、彼が諦めたことは(少なくとも音楽の中では)一度も無かった。
いくらか鈍重にはなったが、曲の「キレ」は今も失われてはいない。

かつての彼は小指を立て、あり得ない明朗さで「君がだいすき 甘いチョコよりも/こんなに大事なことは そうはないよ」と歌っていたが、ラストに収録された「真夜中のサイクリング」(2000年)では、その過去が嘘のようなゴモゴモとした歌唱で、こんな歌詞が歌われる。
「ジャンパーの袖にしがみつけよ 命がけの恋が世の中を救うよ」

これをして「時代に対応できない残念な大人」と言うことも可能だろう。だが、「ジャンパー」はもはやノスタルジーですらなく、彼の悲痛な祈りだ。

下らないピュアリズムに、どうにも時代をうまくサーフィン出来ないこの「残念な大人」の音楽に、出会ってから6年経った今も、僕はどうしても心を動かされてしまう。

一生聞く。





だいすき




真夜中のサイクリング

[PR]
by fa60453 | 2010-06-10 03:30 | うんこレビュー
<< 汚れたいだけ 風街ろまん / はっぴいえんど >>