画像に特に意味はありませんこの間、ゼミで「学会」なるものに初めて行った。 と言っても、大作先生の取り仕切るアレではない。 学会とは、研究者たちが自分の畑でセコセコと研究してきた成果をみんなの前で発表し、それをあーだこーだ言い合って嬉しがる、というもので、普段は冴えない、またはしょーもない、自分の世界以外になんら興味のないおっさんたちが、その晴れ舞台では活き活きと、またはボソボソと喋っているのを見て一体何が面白いのかと、中二病が抜けきらない私は、隅のほうで斜に構えまくりながら話を聴いていたわけだ。 発表の中には、用意しておいたメロディ、歌詞群から自分の好きなものをチョイスし自分好みの音楽を作る作詞作曲システム、というJ-POP文化の成れの果てのような酷いシロモノもあって、これだから理系の人間は!と憤慨した自分は壇上に石を投げつけてやろうかとも思いましたが、危ないので止めました。 まぁしかし、普段理系の人間の思想に触れることの少ない私とっては貴重な体験で、中には面白い発表もあり、「こういう世界もあるんやなぁ~」といった感じで、意外なことに、全体的には楽めてしまいましたよ。はは。 で、中でもその日、一番印象に残ったのが、本筋の発表ではなく、 「デジタル美術鑑賞学」という特別講演。 「音楽とか映画とか、芸術と呼ばれるものは大体好きやけど、絵画はわかりまへーん。」 という自分のような人間が、何故「わからない」という言葉を使いたがるのか、 という問題意識からその講演は始まった。あーねむ。おやすみなさー …ちょっと待てよ、これって、「洋楽はわからない」とかっていうのと同じやん! ということで、勝手に「美術」から「音楽」に脳内変換しつつ、講演を聴く。 そして以下、もらったレジュメを参考に、講義の内容を少しまとめてみた。 美術史学 美術作品→美術+歴史 美術…美そのもの (美学・芸術学の領域) 歴史…美的なるもの (歴史学・文化史学の領域) 美術作品の構造 伝統・外来からの影響 | 作者(時代性を孕む)→①主題→②制約→③模倣→④創造→⑤作品A (時代A) | ↓ 作者(時代性を孕む)→①主題→②制約→③模倣→④創造→⑤作品B (時代B) ↓ ↓ 作者(時代性を孕む)→①主題→②制約→③模倣→④創造→⑤作品C (時代C) 当たり前かもしれないけど、これって音楽と全く同じですよね。 演る側、アーティスト側は意識的にこれを踏まえてないと、正直話にならないっすね。 一般的な美術鑑賞論 ①主観的に感じる ②客観的に知る ②とは、美的・作品的価値を評価しつつ、知性的に鑑賞する、ということであるが、 これは、要は周りの評価とか情報を基に、「なるほどぉ~そうかぁ~わかるわかる」といった感じで「わかっている自分」に対する安心感、というものに落ち着きやすく、陥りやすい罠なのである。 しかし本来、美術作品というのは形を持つ作品であって、目で「視る」芸術である。 視ること、というのは気づくこと、というのと同義であり、これはつまり①なわけだけれども、 問題は、いかにして主観的なものを客観的に表現できるか?ということなのである。 そう、問題はその視点である。と。 美術鑑賞の3視点 A)なにを(主題) 造られた形が何を表しているか。テーマ・主題。知識による形の理解。 B)いかに(表現) 造られた形がどのように表現されているか。様式。感性による形の理解。 C)なぜ(造形要因) a)その作品を必要とした政治的・宗教的・思想的背景など広義の文化史領域の問題。 b)様式の意味するところの理解。知識と感性による形の理解。 これもそっくりそのまま音楽に当てはまります。 面白いブログやレビューを書くコツも、ここにあると思います。 確かに、自分の好きなブロガーさんたちも、よく考えてみると、この3点をきっちりと踏まえた上で、みなさん独自のバランスを取っているんですよね。 いやぁ、感動した。 自分の中のモヤモヤをきちっと言語化してもらった爽快感。 芸術科の学生は毎日こんな感じの授業を受けてるんだろうか。いいなぁ。 講義はその後、日本の美術史へ流れて行きましたが、そこはもう、とても気持ちの良い睡眠時間と化しましたよ笑。 講演を担当された阪南大学・山本教授のおことば 自分が共感できるものを探しつづけて旅することだ。探しつづけ、共感し、共鳴すれば、君の人生は増幅する。たとえ見つからなかったとしても、少なくとも退屈はしない。
by fa60453
| 2008-09-12 01:55
| 雑記
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