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8 / Cali≠Gali














桜井青と石井秀仁。
V系全盛期のシーンにおいて、異型かつ破格の才能を持っていた2人を擁する伝説のバンド、カリガリ。

彼らは「メイクするのは売れるため」「この音楽をこのシーンでやることに意味があるんですよ」などと発言し、歌詞では同業者批判を繰り返した。つまり、シーンへの愛情と憎悪でいっぱいだった。

これは、日本のポップミュージックシーン最重要人物の一人、鈴木慶一をプロデューサーに迎えて製作された2003年発表のアルバム。

おそらくは音楽だけで勝負できる自信があったのだろう。
アートワークでは、陰鬱でゴシックなビジュアルやこれまでの~実験室というタイトルをやめ、ナチュラルメイクのメンバーが青空の下でTシャツを干している。

日本文学や歌謡からの影響を時に陰鬱に、時に繊細に音楽に落とし込む、数少ない「本物」の匂いがプンプンする、桜井の曲。(彼はゲイである。)
ニューウェーヴやレフトフィールド・ポップにルーツを持ち、大胆な打ち込みも駆使する、石井の曲。
様々な曲調を難なくこなす優秀なリズム隊。

鈴木という師を得た石井の曲が水を得た魚のように生き生きと躍動している反面、桜井の曲は精細を欠いているが、ラストトラックの名曲「青春狂騒曲」が描く晴れやかな情景は、なにか吹っ切れたものを感じさせる。
このエゴとエゴのぶつかり合いから生まれる、壮絶でありながらも本物の美は、まさにカリガリ版「ホワイトアルバム」とでもいえよう。
「音楽の力」で下らないジャンル分けから解き放たれた彼らはこの瞬間、間違いなくただのロック/ポップ・ミュージシャンだった。

このアルバムをもって無期限活動休止。






舌先3分サイズ

ミューマガでも誉められていたという最高傑作「8」より。
当時V系関係者は皆腰抜かしたんじゃないでしょうか。



青春狂騒曲

名曲。



ウレイ・デイ・バイ・デイ / goatbed(石井ソロ)

2004年発表。
日本はバンプ、アジカン、オレンジレンジなんかの年。海外ではリバティーンズ、ブロック・パーティー辺りか。
音も映像もチープだけど、世界見ても似たような音出してる人はいないでしょう。立ち位置も含めて孤高すぎる。
2009年にこそ再評価されるべき。
by fa60453 | 2009-08-26 00:37 | うんこレビュー
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