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Live 2009 "THE BEST" / 安藤裕子



















6/21 at 大阪国際会議場メインホール


以前、音楽ライターの宮園龍氏が、雑誌「MUSICAでこんなレビューを書いていた。
「安藤裕子の音楽は都会に生活する者たちの小さな背中をそっと後押しする。この音楽を愛する人たちが幸せになればいいなと思う。」(シングル「パラレル」のレビュー)
僕はハッとして、思わず泣きそうになってしまった。

リンク先のブログ「Music For Life」で、管理人のマサ太郎くんが彼女の音楽を「『あなたと私のふつうのこと』がこの上なく愛しく奏でられる」と評していた時にも、僕は同じような感動を覚えたのだった。

安藤裕子は元女優。ウワサによると、ええとこのお嬢様である。
類まれなる歌声と端麗な容姿を持ち、ファンの誰もが彼女のことを「憧れ」として見ている。
が、音楽的知識は現在に至るまでほぼ素人同然。
「音楽は聴かない」と公言。(正直これはどうかと・・・。)

ただ彼女は音楽の中で、誰かと出会い、共に居れることの喜びやいつか訪れる別れの気配を感じながら、笑ったり泣いたりしている。そう、僕たちと同じように。

「あなたと私の普通の日々」を、彼女は彼女なりのやり方で極彩色に彩ってみせようとする。それを日本屈指のミュージシャンたちが優しく微笑みながら後押ししたり、ほったらかしたりすると「安藤裕子」の音楽になる。それはは社会的指標に対する安っぽい根性論や、どこにあるんだかわからない安心感を売るようなものではない。

この日のクライマックスが本編ラスト2曲に演奏された「隣人に光が差すとき」~「聖者の行進」だったことを否定する人は少ないだろう。

「隣人に光が差すとき」の主人公は、夢を掴んだ「隣人」の姿に打ちのめされてしまい、そんな過去の自分を「ヤワすぎた」と回想する。そして「聖者の行進」では、覚束なくも力強い足取りを始める主人公に、パイプオルガンの聖なる光が差し込む。「君が細い腕を差し伸ばすのなら、この身を世界に捧げてもいい」と彼女は歌う。

個人、個人、個人、の時代に、彼女は何に反抗するでもなく、何を癒すでもなく、自分がその手で掴みたいもの、その為に小さな羽根で飛ぼうとする。

今までに見たライヴでは、この曲たちの熱量のベクトルはあくまでも自分自身に向いていて、それはあたかも自らを奮い立たせるような、必死に呼びかけるような歌だった。

しかし今回、その熱量の半分は、確実に客席に向いていた。客席まで届いていた。秀逸な照明も手伝って、僕は泣くこともできず、ただただ圧倒されてしまったのだった。

絶妙な揺らぎを持つ彼女の歌声は、その不安定さも大きな魅力となっていた節がある。しかし今回は、それ以上の力強さがあった。羽根はいつの間にか、立派で大きなものとなっていたのだ。

「普通」の彼女がそうやって歌うことは人間の生命を肯定することとイコールで、だから僕は彼女の音楽が大好きだ。
歴史的な名盤なんて発表してくれなくていい。彼女がそこにいて、唄ってくれているだけでもうじゅうぶんなのだ。




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by fa60453 | 2009-06-22 03:06 | うんこレビュー

2009年上半期

6月も折り返し。いよいよ色々とヤバくなってきた。
いちいち感情に振り回されてたら大人にはなれないんだなーということがよくわかった笑。
が、ちょっと自分の思考がクリアになりつつある最近。まあ、ある種の開き直りですけど。
とにかく時間が無い!!というかお金が無い!!!!こともあり、音楽を手に入れる方法へのこだわりが薄くなってきた。
だって、探せばその辺に大体あんねんもん笑。でも、気に入ったものはちゃんと買ってます。

そんな2009年上半期に、何らかの方法で(笑)聞いた新譜↓

80kidz
the ARROWS
Animal Collective
Antony & The Johnsons
Bat For Lashes
Buck-Tick
The Bawdies
Camera Obscure
Franz Ferdinand
John Frusciante
Lillies and Remains
Lily Allen
Little Boots
The Fuan Maclean
Handsomeboy Technique
The Horrors
Ego-Wrappin' & The Gossip Of Jaxx
monobright
MUCC
Nirgilis
The Pains Of Being Pure At Heart
Passion Pit
Phoenix
Yeah Yeah Yeahs
U2
エレファントカシマシ
チャットモンチー
トクマルシューゴ
ユニコーン
曽我部恵一Band
坂本龍一
髭(HiGE)


去年のように毎月、毎週興奮する新曲が届けられてYou Tubeの前でニヤニヤしっぱなしだった去年に比べれば地味だし、飛び抜けた傑作はないかなー、という印象。でも日本は良いの結構あったかも。

ベストは強いて言えば、ホラーズ、エゴラッピン、パッションピット、アントニー、ソカバン(か、エレカシ)。
流行のブルックリン周辺はぶっ飛びすぎてて正直馴染めません。それよかエレカシ、ソカバンな気分でした。

それ以外では基本的には邦楽の古いのを漁ってました。RC、エレカシ、エンケン、YMO、細野さん、吉田美奈子、等々。

曲単位でよかったの↓
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by fa60453 | 2009-06-18 18:39 | 雑記

Part Of Grace / Lillies and Remains















先日、バンドのメンバーに近しい知り合いの人にアルバムの感想を聞かれて、

「いやぁ~曲(ソングライティング)はほんとにセンス抜群ですわ日本屈指ですわ、すごいっすわ。」

「あ~、ほんとにぃ。」

「でもなんていうか、将来あっちの有名なプロデューサーとかにやってもらったら、もっととんでもないことになりそうっすね。」

と、プロダクションのエッジのなさというか、なんか室内楽的な響きがちょっとなあ、と遠まわしに言わせてもらいました。はは。

例えば2曲目の「The Fake」とか(ホンモノっぽい、とか「非邦楽」的意味あいにおいて)無茶苦茶カッコイイのに、聞こえが平面的でもったいないなー、と思っていたら、今日買ったSnoozerで田中亮太さんと小林祥晴さんがほぼ同じ意味のことを書いてらしたので、あ、そう思ったのはおれだけじゃないのね、と思った次第です。まあお金の問題とかもあるんだろうけど。

しかし、スカしたアルバムタイトルもさることながら、インタビューの鼻につく感じといい、アーティスト写真といい、もう死ぬほどカッコいいっす。メロメロ。ほんとにこの先楽しみ、っていうか、ファンです。もし今度ケント君の地元の駅で会うことがあったら握手してください笑。そんでどんどん足場広げて、どんどん噛みついていっちゃって下さい!


HMVの記事 全曲解説
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by fa60453 | 2009-06-18 17:04 | うんこレビュー

キラキラ! / 曽我部恵一BAND














(昔書いたままほったらかしていた、え、どうなんこれ笑?というレビュー)

90年代のJ-POPシーンは完全に浮かれていた。だが、その反対側にはフィッシュマンズがいた。そして2000年代、J-POPシーンはゴミでもカスでもなく、チリ、ホコリ、ダニ、もしくはそれ以下のものになった。ファンタジーも問題提起もない、なんの根拠も無い現状肯定の雨あられ。
それに対して、アンダーグラウンドからの表立った反抗は無く、下北系ギターロックはひたすら内省、関西ゼロ世代はただあてなくわめきちらし、曽我部自身も言及したRaw Lifeなどのシーンはひたすら沈黙(エレクトロニカとか?よく知らんけど笑。)、誰もが声を荒げようとはしなかった。ポップシーンでは誰かが「そばにいるよ」とささやき、ロックはひたすら「あなた」を標榜し(ほぼ共振しているんじゃないか?と思うほど)、誰もが「君と僕」という殻にこもったまま、今も出てくる気配はない。

大雑把にいうと、「キラキラ!」は、その「ポップシーンへの反応としての内省」への、明確で決定的なカウンターなんじゃないかなと。
そして、それは「Love City」で提示したファンタジーと地続きでもあると。

おそらくこのままいけば2000年代サブカルチャーを代表する言葉は「空洞です」ということになると思うけど、いやいや、こっちにもありますよ、すごいのが。

こんな言葉を聞いたことがある。「ロックンロールとは、懸命に生きることで、生きていることを忘れてしまうための音楽だ」。そう、これは不況や就活やなじめないバイトや何やに脅かされようと、決して消えることのない命の光。視聴機で「天使」を聞いた瞬間、もう半泣きでした。



(関西ゼロ世代やRaw Lifeは、果たしてこういう認識でいいんでしょうか?うーん。でもこれについて何も書いてないのもどうかと思い、思い切って掲載してみました。)
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by fa60453 | 2009-06-14 01:53 | うんこレビュー

ノイズ文化論、こころ、STUDIO VOICE

ここ最近やられた本。














ノイズ文化論(宮沢章夫)















こころ(夏目漱石)















STUDIO VOICE(相対性理論特集)



どの本も気持ちよく頭の中を掻き回してくれました。

「ノイズ文化論」は「ああーなるほどぉ」と膝をうちまくり、「こころ」は底の見えない谷を目の前に見せられた気分に、スタジオボイスは表紙見た瞬間に何故か「やられた…」と思いました。

相対性理論は10年後、00年代的なるものとしてそこに存在するんでしょうか?
うーん、なんか釈然としないな。

それより「Jポップ・アンダーグラウンド」が面白かったです。
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by fa60453 | 2009-06-13 02:19 | 雑記

SENSUOUS SYNCHRONIZED SHOW / Cornelius














すげーーーーーーーーーーーーーーー!!

という感想。

More
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by fa60453 | 2009-06-13 01:46 | うんこレビュー

ライフ / エレファントカシマシ















という訳で、最近はエレカシを聞き漁っているんですが、ディスコグラフィの中でも明らかに浮いてる印象の2002年作。

ブレイク~ガストロンジャーでの宮本完全独裁体制を経ての作品ということですが、不自然な程に穏やかな曲が並ぶ今作からは、明らかに燃え尽き症候群の匂いが笑。

「ひっきりなく車流れ行く音も/僕はもう慣れたのさ」

「転がったまま考えてたのさ/勝利のことやあなたのことを」

「さよなら遠い空/何故だろう少し優しくなって」


…とまあこんな感じである。

宮本がこの時「完全に預けた」というプロデューサーは小林武志氏。
なるほど、大人な佇まいの整然とした音作りは悪くない。でも、相手はエレカシだ。ちょっと整理されすぎじゃね?という気も。

ただ、作品としては嫌いじゃない。ニール・ヤングで言うところの「渚にて」のような位相にある作品。
秋のひっそりとした夜に聞きたい一枚。
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by fa60453 | 2009-06-13 01:31 | うんこレビュー

昇れる太陽 / エレファントカシマシ














「す、すげえ気だ……!!」
このアルバムの印象を梧空風に言うとそんな感じ。
誰がなんと言おうと最高です。も、戦闘力高すぎ。

過剰なのにポップで、男臭いのに爽やかで、泣けるのにアガって。
抑制することでポップ足りえた前作も死ぬほどダサくてまぁ良かったけど、今回は10年前のブレイク時とは違って余裕があるのに、込められた熱量のケタが違う。しかもプロダクション、ソングライティング、歌詞のテーマ、全てにおいてフォーカスが全くぶれていない。
「絆」みたいなスタジアム・バラッドや、いい意味で完全に歌謡曲な「ハナウタ」(いい曲)あたりはコブクロファンでもいけるでしょ。(ここに意味があると思う。ま、10年経てば曲のレベルの違いはハッキリすると思うけど)そういう意味で、フリーザもびっくりのスーパーサイヤアルバム。ジャケットはちょっとラディッツみたいだけど。

ところで、何故エレカシはポップに戻ってきたのか?という余計な事を考えてみることにする。
それはここ2作で執拗に歌われている、「輝き」という言葉のためだと言っていいと思う。
そう、全ては「輝く」ために。
ん?それってつまり、金と名声?ただのセルアウトなのか?

ここで復活シングル「俺たちの明日」の「さぁ頑張ろうぜ/おまえの輝きはいつだって/俺の宝物」という歌詞を思い出せばいい。今回外部から3人のプロデューサーを招聘していることや、収録されているタイアップ曲の丁寧な作りを思い出してもいい。
つまり、人間の「輝き」というものは、「働く」という行為そのものにあるのかもしれない、ということだと思う。「千と千尋」の旅館で描かれる光景がそうだったように。


あー、もう就活中はエレカシだけでいいや。
感動しぎて、リリーズとボウディーズのCDは「気円斬!」つって窓から投げ捨てました。ウソ。





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by fa60453 | 2009-06-06 03:11 | うんこレビュー